チャートパターンとは
チャートパターンは、トレンドの反転や継続を示唆する特徴的なチャート形状に基づいて、将来の価格動向を予測する分析手法です。

「フォーメーション分析」とも呼ばれています。
ダウ理論、相場分析の基礎とされるこの理論は、トレンドに沿って取引することの重要性を示しています。トレンドがいつ転換するか、または継続するかを知ることは非常に重要で、この理解を深めるためにチャートパターン分析が役立ちます。
- トレンドの転換点を予測することができる。
- トレンドの転換が起こった場合、為替レートがどの程度動くかを予測することができる。
チャートパターンは大きく「転換型」と「保ち合い型」の二つに分類されます。
チャートパターン一覧
転換型(リバーサルパターン)
転換型(リバーサルパターン)は、主に価格が高値圏や安値圏に位置する際に見られ、トレンドの変化を示します。
例えば、市場が上昇トレンドにある時に転換型パターンが出現すると、それは上昇トレンドの弱まりを示し、下降トレンドへの転換を予測する手がかりになります。
逆に、下降トレンドの場合は上昇トレンドへの転換を示唆します。
転換型の代表的な6つのチャートパターンは以下の通りです。
- ヘッド&ショルダーズ・トップ(三尊天井)
- ヘッド&ショルダーズ・ボトム(逆三尊)
- ダブル・トップ
- ダブル・ボトム
- トリプル・トップ
- トリプル・ボトム
これらのパターンを理解し、見極めることがトレンド転換の予測には重要となります。
ヘッド&ショルダーズ・トップ(三尊天井)

ヘッド・アンド・ショルダー・トップ、または「三尊天井」とも呼ばれるパターンは、上昇トレンドの終わりを示す転換型チャートパターンです。
このパターンの特徴は、中央に最も高い高値(頭)が位置し、その両側にはそれよりも低い高値(肩)が形成されることです。
通常、これらの側面の高値はほぼ同じ価格レベルになることが一般的です。
また、このパターンにおいて重要な要素はネックラインです。ネックラインはトレンドの変化点を示し、例えば市場が上昇トレンドにある場合、一度下落した際の最低価格がネックラインとなります。
ネックラインは多くの投資家に注目されるポイントであり、このライン付近では価格が跳ね返る傾向があります。しかし、一方でこのラインが破られるとトレンドの転換の可能性が高まります。
したがって、ヘッド・アンド・ショルダー・トップのパターンが形成されても、ネックラインを下回らない限りは完全なパターンとはみなされません。価格がネックラインを下回った時点で、上昇トレンドの終焉と分析するのが一般的です。
ヘッド・アンド・ショルダー・ボトム(逆三尊)

ヘッド・アンド・ショルダー・ボトム、通称「逆三尊」として知られるパターンは、下降トレンドの終了を示す転換型チャートパターンです。
このパターンは、中央に最も低い安値(頭)があり、その両側にはそれよりも高い安値(肩)が形成されることが特徴です。
通常、これらの両サイドの安値はほぼ同じ価格レベルになることが一般的です。
重要な要素の一つがネックラインです。ヘッド・アンド・ショルダー・ボトムのパターンが形成されても、ネックラインを超えなければ、そのパターンは完成したとは考えられません。価格がネックラインを上回った時に、下降トレンドの終了と分析されます。
このネックラインの突破は、下降トレンドからの転換、すなわち上昇トレンドへの移行を示唆する重要なシグナルとなります。
ダブル・トップ

ダブル・トップは上昇トレンドの終わりを示す転換型チャートパターンで、2つの高値が同じかほぼ同じ価格レベルで形成されることが特徴です。
このパターンにおいても、ネックラインは重要な要素です。
2つの高値がほぼ同じ価格で形成されたとしても、ネックラインを下回らなければ、ダブル・トップのパターンは完全に形成されたとはみなされません。
価格がネックラインを下回った時点で、ダブル・トップのパターンが完成し、上昇トレンドの終了と分析されます。
このパターンは、上昇トレンドの疲弊と市場の方向転換の兆しを示すため、トレーダーにとって重要なシグナルとなります。
ダブル・ボトム

ダブル・ボトムは、下降トレンドの終了を示唆する転換型チャートパターンで、特徴として2つの安値が同じかほぼ同じ価格レベルで形成されます。
このパターンにおける重要な要素はネックラインです。
たとえ2つの安値が同じ価格レベルで形成されたとしても、ネックラインを超えなければ、ダブル・ボトムは完全に形成されたとは認められません。
価格がネックラインを上回るとダブル・ボトムが完成し、下降トレンドの終焉が示されます。
このパターンは、下降トレンドの終わりと市場の方向転換への移行を示す重要な指標となるため、トレーダーにとっては重要なシグナルです。
トリプル・トップ

トリプル・トップは、上昇トレンドの終焉を示す転換型チャートパターンで、3回の高値が同じかほぼ同じ価格レベルで形成されることがその特徴です。
このパターンでも重要なのはネックラインです。
3回の高値が同様の価格で形成されても、ネックラインを割り込まなければ、トリプル・トップは完全に確立されたとは言えません。
価格がネックラインを下回る時、トリプル・トップは完成し、それは上昇トレンドの終了を示します。
トリプル・トップは市場の疲弊と将来の下降トレンドへの転換の兆しを示すため、トレーダーにとって重要なサインとなります。
トリプル・ボトム

トリプル・ボトムは、下降トレンドの終焉を示唆する転換型チャートパターンで、3つの安値が同じかほぼ同じ価格で形成されることがその主な特徴です。
このパターンにおいて特に重要なのはネックラインです。
3つの安値が似た価格レベルで形成されたとしても、ネックラインを上回るまではトリプル・ボトムが完全に形成されたとは見なされません。
価格がネックラインを上回ることでトリプル・ボトムが完成し、下降トレンドの終了と解釈されます。
このパターンは市場の変化と上昇トレンドへの転換の兆しを示すため、トレーダーにとっては重要なサインとなります。
保ち合い型(コンティニュエイションパターン)
保ち合い型(コンティニュエイションパターン)は、トレンドが一時的に停止する場面で現れ、その後トレンドが元の方向に戻ることを予兆するものです。
例えば、市場が上昇トレンドにある時、その勢いがいったん弱まり、保ち合い型のチャートパターンが形成されると、その休憩の後に再度上昇トレンドが継続することが予測されます。
保ち合い型の代表的な9つのチャートパターンは以下の通りです。
- アセンディング・トライアングル
- ディセンディング・トライアングル
- 上昇フラッグ
- 下降フラッグ
- 上昇ペナント
- 下降ペナント
- レクタングル
- 上昇ウェッジ
- 下降ウェッジ
これらのパターンを理解し、適切に分析することで、トレンドの次の動きを効果的に予測することが可能となります。
アセンディング・トライアングル

アセンディング・トライアングルは、上昇トレンド中に見られるチャートパターンで、ここでは上限が水平線(レジスタンスライン)となり、下限が上向き(サポートライン)となっています。このパターンは通常、上昇トレンドの一時的な中断期に形成されます。
アセンディング・トライアングルは継続型パターンとして知られており、レジスタンスラインを突破すると、上昇トレンドが再び勢いを増すことが多いです。このため、レジスタンスラインの突破を確認してから買いポジションを取るのが一般的な戦略です。
ディセンディング・トライアングル

ディセンディング・トライアングルは、下値支持線(サポートライン)が水平で、上値抵抗線(レジスタンスライン)が右下がりとなるパターンです。このパターンは主に下落トレンドの一時的な休憩中に形成されます。
ディセンディング・トライアングルは一般に継続型のチャートパターンとされ、サポートラインの下にブレイクすると下落トレンドが加速することが多いです。そのため、サポートラインのブレイクを確認した後に売りポジションを取るのが一般的な戦略とされます。
上昇フラッグ

上昇フラッグは、上昇トレンドの一時的な休息期に見られるチャートパターンで、ここではレジスタンスラインとサポートラインが共に右下がりとなっています。
このパターンは、一般的に上昇トレンド中に形成され、継続型パターンとして認識されています。したがって、レジスタンスラインを上方にブレイクすると、上昇トレンドがさらに勢いを増すことが多いです。このため、レジスタンスラインのブレイクを確認してから買いポジションを取るのが好ましい戦略とされています。
下降フラッグ

下降フラッグは、下落トレンドの一時的な休息期間に現れるチャートパターンで、レジスタンスラインとサポートラインが共に右上がりの傾向を示します。
このパターンは通常、下落トレンド中に形成され、継続型パターンとして認識されています。そのため、サポートラインを下方にブレイクすると、下落トレンドがさらに勢いを増すことが多いとされています。このため、サポートラインのブレイクを確認した後に売りポジションを取るのが一般的な戦略です。
上昇ペナント

上昇ペナントは、上昇トレンド中に形成されるチャートパターンで、高値を切り下げつつ安値を切り上げる動きにより、レジスタンスラインとサポートラインが徐々に狭まっていきます。この形状は三角旗のように見え、日本では「三角保ち合い」とも呼ばれています。
継続型パターンとして認識される上昇ペナントは、レジスタンスラインを上方にブレイクすると、上昇トレンドが強まる傾向があります。したがって、レジスタンスラインのブレイクを確認後に買いポジションを取るのが推奨される戦略です。
下降ペナント

下降ペナントは、下降トレンド中に形成されるチャートパターンで、高値を切り下げ、安値を切り上げる動きにより、レジスタンスラインとサポートラインが徐々に近づきます。このパターンは上昇ペナントに似ており、形状が狭まっていく特徴を持ちます。
継続型パターンとして認識される下降ペナントは、サポートラインを下方にブレイクすると、下降トレンドが強まる傾向にあります。そのため、サポートラインのブレイクを確認した後に売りポジションを取るのが推奨される戦略とされます。
レクタングル

レクタングルは、市場が一定の範囲内で動き、高値と安値が一定期間更新されないことで形成されるチャートパターンです。このパターンでは、上値抵抗線と下値支持線が平行になり、長方形を形成します。レクタングルは継続型パターンと見なされます。
例えば、上昇トレンド中にレクタングルが形成された場合、レジスタンスラインを上方に突破すると上昇トレンドが再び勢いを増すことがあります。このレジスタンスラインの突破を確認後に買いポジションを取るのが良い戦略とされています。
一方、下降トレンド中にレクタングルが形成された場合は、サポートラインを下方に突破すると下降トレンドが強まることがあります。このサポートラインの突破を確認後に売りポジションを取るのが適切です。
上昇ウェッジ

上昇ウェッジは、高値と安値を切り上げつつ、レジスタンスラインとサポートラインが徐々に接近し、最終的に先細りになるチャートパターンです。
このウェッジ型パターンは、継続型と反転型の両方の特性を持つことがあります。通常、トレンドとは逆方向に傾斜するのが継続型の特徴であり、稀にトレンドと同方向に傾斜する反転型が現れることがあります。
例えば、市場が下降トレンドにある場合に上昇ウェッジが形成されたとします。この場合、サポートラインを下方にブレイクすると、トレンドの継続を示唆すると分析されます。

ウェッジ型は、転換型と保ち合い型の両方を兼ね備えているので、抜ける方向に注意が必要です!
下降ウェッジ

下降ウェッジは、高値と安値を切り下げる動きを示しながら、レジスタンスラインとサポートラインが徐々に狭まり、最終的に先細りの形状を形成するチャートパターンです。ウェッジ型パターンは、継続型と反転型の両方の特性を持つことがあり、主にトレンドとは逆方向に傾斜する継続型が一般的ですが、時折トレンドと同方向に傾斜する反転型も現れます。
例えば、市場が上昇トレンドにある状況で下降ウェッジが形成された場合、レジスタンスラインを上方に突破することで、トレンドの継続を示すと考えられます。
チャートパターンを使い取引をする際の注意点
FX取引において、常に利益を保証する手法やテクニカル分析は存在しません。これはチャートパターンにも当てはまります。パターンを完璧に把握していたとしても、市場の状況によってはそのパターンが機能しないこともあります。

「だまし」に十分注意しましょう!
例えば、上昇トレンド中にヘッド・アンド・ショルダー・トップ(三尊天井)パターンが現れ、これを基に売りポジションを取る場合、予想に反して市場がさらに上昇し、損失を被る可能性があります。
チャートパターンの知識は取引で利益を得やすくする手助けにはなりますが、利益が保証されるわけではないという点を理解し、留意することが重要です。
まとめ
チャートパターンの分析は、トレーダーが実際にチャート上に線を引き、形状を識別することから始まります。多様なチャートを観察し、実際に線を引くことを繰り返す経験を積むことによって、より正確なチャート分析が可能になります。
ぜひチャートパターンを活用して、取引の幅を広げてください。
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